グーテンベルクが見たら泣くな

最近、この本を読んでいる。

アメリカ紀行〈上〉 (岩波文庫)

アメリカ紀行〈上〉 (岩波文庫)

1842年のアメリカを描いた紀行文で、「本邦初訳」だそうだ。岩波文庫から去年出たばかり。その中にこんな表現があった。

さまざまなアルファベットがその端に鋳造されている一組の金属活字と、

「金属活字」のところに訳注がついている。巻末の訳注を見てみると、

当時は印刷するのに四角の細長い、金属製の棒の一端に活字を彫ったものを並べて印刷した。

知ってるわさ。
「当時は」って、間違ってはいないけど、20世紀後半までは大概の印刷所はそれを使って印刷していたはずだ。
こういうお節介な訳注で読むペースを崩されるのは困るもの。ただ実際、21世紀になって活版印刷をしている印刷所なんてほとんど残っていないだろう。こういう本は一度訳したら何十年と見直されないこともあるので、何十年後の読者には金属活字なんていっても理解されないこともあろう、という配慮かもしれない。いや。それこそお節介だ。