坂の上の雲

読み終えた。全8冊。最近は日露開戦100周年とかで流行りもののようになっているが、そんなこと知らず、たまたまブックオフで第1巻が100円で売っていたので読み始めたもの。(2巻以降は新しいものを購入)。

明治国家というもの自体がこの小説の主題だが、中でも中心にあるのは日露戦争のこと。とにかく、自分が日露戦争のことをあまりに何も知らなかったことに驚いた。もちろん、何年から何年までで、なんていう条約で講和して、ということは知っている。が、そんなことではなく、あの戦争は日本にとって祖国防衛戦争だった、ということ。負けたらポーランドフィンランドみたいな状況になっていたかもということ。もちろん、司馬遼太郎はそう解釈した、ということなんだけど。朝鮮と満州をめぐる日本近代史を考えるときに、このことを忘れては正しい評価はできるわけがないだろうと思った。素直すぎる感想で非常に恥ずかしいんだが、そう思った。

ところでこの小説、書かれたのが昭和40年代半ばという時期で、今と決定的に違うのが、この時期日露戦争からまだ70年弱しか経っておらず、実際に日露戦争に参加した人がわずかにまだ存命中だったということだ。実際に戦闘に参加した人の生の声が、いくつも載せられている。感動的だ。