埼玉電特問題

上の記事の続き。この話、前にも書いたことがあるように思うが。神奈川県は久里浜駅(東京から70.4km)、千葉県は千葉駅(東京から39.2km)までが電車特定区間なのに、埼玉県は大宮駅(東京から30.3km)までしか電車特定区間に含まれていないなんて許せない、という問題だ。
県議会で取り上げられたことがきっかけらしい。議会でのやり取りは下のリンク先にあるが、この議員さん、埼玉ナショナリズムが爆発していて面白い。「我が埼玉の富が、JR東日本を媒介に神奈川に奪われている」とまで言っている。

というわけで、県としてJRに働きかけることになった。以前にも申し入れをしていたようで、そのときのやり取りと今後の戦略が、先日2月1日の知事記者会見で説明されている*1。暇にまかせて文字に起こしてみた。

記者:JRの運賃格差の問題の今後の取組について教えてください。

知事:はい、藪から棒でいわば交渉につぎ込んでいきましたので、若干、ちょっとこうなんというんでしょうか、冷たく跳ね返されたというような部分も、「他のところでカバーするからご勘弁を」というんでしょうか、一言で言えば。他のサービスでカバーしますから、例えば湘南新宿ラインであるとかですね、まこれ名前がついてないからサービスになってないと思いますけど。埼玉の名前がついてませんから、あくまで湘南中心というんですかこれもですね、これも気に食わないとこですけども。いずれにしてもサービスでですね、勝負をするんで、運賃ではいろいろあるんですがということでお答え頂いておりますが、まさに交渉をですね、更に丁寧に進めるために、ある意味では、いろいろな試算をさせていただきましたので、新しい数字等々をですね持って、改めて、JRの、まさに経営努力っていうんでしょうか、経営の枠の中で解消できる範囲内だというふうに、私たちは判断しておりますので、改めてまた、格差是正のためにですね、交渉を再開したいという風に思っております。

記者:前回その冷たく追い返されたといったときにですね、これは出だしのジャブだというふうにおっしゃっていましたが、今回どうような…。

知事:はい、まさにJRの利益というかですね、そういう部分を精査して、こちらのほうの料金の是正の部分の数字をもっと精緻に上げてですね、より精緻な攻め方をしたいと、より数字をですね明らかにしながら、攻撃を、あ攻撃を言ったらなかなか相手も嫌でしょうから、交渉をですね、させていただいて、粘り強くですね、交渉を続けたいというふうに思っております。

記者:勝算については以前と変わらないでしょうか。

知事:ええ、何度もお話をしているうちにですね、ご理解していただくというのは世の常でございますので、勝算ありとかっていうのはちょっと早計だというふうに思ってますけれど、これは何度もやっぱり理解していただくしかないと思います。そのうちに、世論がついてくる部分もあると思いますので。実態そのものが、ご報道いただいてもですね、まだなお知らない方々もおりますので、やはり機会あるごとにですね、交渉をしてそれをアピールしながら、等しく県民の皆さん、ま場合によっては栃木群馬のかたがたまでも踏み込んでですね、ご理解いただいてですね、そして、格差是正につなげて行きたいという風に思っております。

JRとしては、新宿直通列車も大増発して、グリーン車まで連結したじゃないの、ということだろう。まあ、こういうのを「はぐらかす」というんだが。一方の県側は「数字を上げて」といっているが、具体的には上でも書いた毎日新聞の記事にもあるように、「電特区間籠原まで延長してもJRの減収額は同社の年間収益の0.07%に過ぎない」というような倫理のようだ。
現実問題としてJRがそう簡単に値下げにつながる電車特定区間の再設定をやるとは思えない。とはいえグリーン料金制度の抜本改革とか、近郊区間の拡大とか、JR東日本は最近、制度改革を積極的にやる会社になっているので、まったくありえない話でもないだろう。タイミングとしては将来、運賃値上げが可能になるようなタイミングで、現行の電特は廃止して、新たに東京近郊区間内と区間外で賃率を変えるなんてこともありではないかと思う。ので、要望しとく分には損はないと思うね。